顧問社労士の対応に「ミスが多い」「どうも任せていて不安だ」と感じ始めたとき、企業としては早急に状況を把握し、適切な打ち手を講じることが求められます。
なぜなら、社会保険や労務手続きは一つの誤りが大きなリスクにつながりやすく、放置すれば従業員トラブルや法的ペナルティにも発展する可能性があるためです。
そこで今回のコラム記事では、顧問社労士に不満を抱いたときに会社が取るべき5つのステップと、社労士との契約自体を見直すべき実務ポイントを、社労士事務所の視点から整理して解説いたします。状況改善に向けた判断材料としてお役立ていただければ幸いです。
なぜ「顧問社労士にミスが多い」と感じるのか
顧問社労士の業務は企業の労務管理を支える重要な役割を担いますが、実際には「手続きミスが多い」「連絡が遅い」などの不満が生じることがあります。
こうした不満は単なる「相性の問題」にとどまらず、業務体制や契約内容、情報共有の仕組みなど、複数の要因が絡み合って発生する場合が多いと考えられます。
まずは、その背景にある代表的な原因を専門家の視点で整理していきます。
手続きミス・書類不備がなぜ起きるのか
手続きミスが頻発する背景には、次のような構造的要因が潜んでいるケースが少なくありません。
- 情報提供が不十分なまま業務を開始している
- 入社日・賃金・雇用形態などの情報が曖昧だと、社労士側で正確な判断ができず、結果的に誤記や漏れにつながりやすい
- 社労士事務所内のチェック体制が弱い
- 担当者が多くの案件を抱え、ダブルチェックが機能していない事務所では、人的ミスが発生しやすい傾向がある
- 制度変更へのキャッチアップ不足
- 社会保険・労働法令は頻繁に変わるため、最新情報を把握していないと「古いルールで処理してしまう」場合も
つまり、必ずしも担当社労士個人の能力だけが原因ではなく、事務所の組織体制や情報共有の仕組みが影響している可能性が高いと言えるでしょう。
対応遅延・連絡不備が「会社」に与える影響
社労士の連絡が遅かったり、必要な情報が届かない状態が続くと、企業側には次のような実務リスクが生じます。
- 法定期限の遅延によるペナルティの発生
- 労働保険の年度更新や算定基礎届など、期限遅延は企業側の責任として扱われるケースが多いため、思わぬ負担が発生する
- 従業員とのトラブルの火種になる
- 雇用保険手続きや傷病手当金の申請が遅れると、従業員が「会社が対応してくれない」と不満を抱き、信頼関係が揺らぐことがある
- 意思決定のスピードが落ちる
- 労務相談への回答が遅いと、判断が先延ばしになり、結果として事業運営に影響を及ぼすケースも考えられる
このように、対応遅延は単なる「不便さ」の範囲を超え、企業活動全体のスピードと信頼性を阻害するリスクを孕んでいます。
経営者・担当者として見落としがちな社労士との顧問契約の落とし穴
不満が生まれる背景には、企業側が契約内容や業務範囲を誤解しているケースも少なくありません。
- 「無制限で相談できる」と誤解している
- 実際には、労務相談は月◯回まで、就業規則の改定は別途料金など、細かな制限が設けられている場合があります。
- 実務サポートとコンサルティングを区別していない
- 手続き代行は行うが、労務リスクの診断や運用改善は契約外という事例は意外と多く、期待値のズレが不満の原因になります。
- 担当者変更のルールが不透明
- 事務所都合で担当が頻繁に変わると、情報の引き継ぎ漏れや質のばらつきが起きやすく、「ミスが多い」と感じやすいでしょう。
契約段階でこうしたポイントを認識していないと、実際のサービス内容と期待のギャップが広がり、結果として不満につながるケースが多いと思われます。
会社が抱える「社労士への不満」パターンとその理由
顧問社労士に対する不満は、単なる感情論ではなく、企業側の業務フローや期待値、社労士事務所の体制などが複合的に絡み合って発生していることが多いといえます。
表面的なミスだけを見て判断すると原因を取り違えかねないため、まずは不満の“パターン”を理解し、その背後にある構造的要因を押さえることが重要でしょう。
ここでは代表的なケースを具体例とともに解説します。
ミス・手違いが頻発するパターン
「手続きが間違っていた」「書類に不備が多い」といった不満が多い企業では、以下のような背景が見られる傾向があります。
- 業務量に対して社労士側のリソースが不足している
- スタッフ数が少ない事務所ほど繁忙時に処理が追いつかず、確認漏れや誤記載が起こりやすいでしょう。
- 会社側の情報提供がバラバラで、ミスを誘発している
- 人事担当者が複数いる、提出形式が統一されていないなど、企業側の体制がミスの温床となる場合もあります。
- 社労士事務所内のチェックフローが形骸化している
- ダブルチェックが形式的になっている事務所では、担当者の経験に頼りきりになり、品質が安定しないこともあります。
「ミスが多い」という表面的な問題の裏側には、こうした業務体制のゆがみが潜んでいることが多いと言えるでしょう。
契約内容と提供サービスが乖離しているケース
不満が生じる典型例として、「契約内容に対して期待しているサービスが違う」というパターンも非常に多いです。
- 相談無制限だと思ったら回数制限があった
- 就業規則の改定や作成が“顧問外”扱いだった
- 労務トラブル対応を期待していたが、基本手続きのみの契約だった
これは企業側の確認不足もありますが、社労士側の説明不足や、専門用語の理解ギャップも影響しています。
サービスの境界線があいまいだと、双方の期待がズレ続け、不満が積み重なりやすい状況になるでしょう。
社労士の専門性・提案力・IT対応力が足りないケース
近年は労務管理の高度化や法改正のスピードが増し、社労士にも高い専門性と柔軟な対応力が求められています。
そのため、以下のような点で物足りなさを感じる企業も増えてきました。
- 最新の法改正や運用トレンドへの理解が浅い
- 企業の課題に対し具体的な改善提案がない
- システム導入・電子申請などIT面の支援が弱い
このようなケースでは、単なる手続き代行ではなく「パートナーとしての価値」を求めている企業ほど不満が大きくなりやすいと言えるでしょう。
例:電子申請に非対応でミス・遅延が起きる背景
電子申請が一般化している現代において、これに非対応の社労士事務所では次のような問題が生じがちです。
- 紙書類のやり取りで郵送・押印のタイムラグが発生する
- データ管理が手作業中心で、転記ミス・二重入力が起こりやすい
- 行政側のオンライン処理の変化に追いつけず、申請が遅れる
結果として、企業側は「なぜこんな単純な手続きで時間がかかるのか」と不満を抱き、信頼が下がってしまうことになります。
例:助成金申請を期待したが知識も提案もなかった背景
助成金は専門性が高く、情報更新も頻繁なため、社労士によって対応レベルが大きく異なります。
- 助成金専門スタッフがいない事務所では、網羅的な提案ができない
- 制度の変更スピードが速く、キャッチアップが追いつかない
- 助成金を“高リスク業務”として扱い、そもそも積極的に行わない方針の事務所もある
その結果、企業としては「せっかく顧問料を払っているのに全く提案がない」と感じ、サービス価値に不満を抱くことにつながるわけです。
「今の社労士を見直すべきか」の判断基準
顧問社労士との関係を続けるか、見直すべきかを判断するためには、感情的な不満だけでなく、客観的な基準を用いて評価することが重要です。
ここでは、企業が冷静に判断を下すための観点を整理し、実務で使えるチェックポイントを提示します。
チェックポイント:日常対応・手続き・提案の観点から
まずは、現在の社労士とのやり取りを以下の視点で振り返ってみると、状況が整理しやすくなります。
<日常対応のチェック>
- 連絡や回答が営業日ベースで「24時間以内」に返ってくるか
- 質問に対し、根拠の分かる説明があるか
- 相談内容を正しく理解し、意図を掘り下げてくれるか
<手続き面のチェック>
- 書類不備・誤記載・漏れなどの手続きミスが月1回以上発生していないか
- 法定期限を守った処理が一貫して行われているか
- 電子申請やクラウド管理など、最新の手法に対応しているか
<提案力のチェック>
- 法改正情報や運用変更を“事前に”知らせてくれるか
- 就業規則や人事制度の改善に関する提案があるか
- 助成金や制度活用の案内が、企業の状況に応じて適切に行われているか
これらを総合して「満足度」「リスク」「コスト」のバランスを見極めていくことが、見直し判断の大きなヒントになるでしょう。
契約書・顧問料・サービス範囲を改めて確認するポイント
不満の多くは、実は“契約内容の理解不足”から来ています。今一度、契約書を次の観点で確認してみてください。
- 顧問料に含まれる業務範囲はどこまでか
- 労務相談、入退社手続き、算定・年度更新、就業規則対応などの項目を一つずつチェック。
- 追加料金が発生する業務の明確化
- トラブル対応、労基署調査対応、助成金申請、制度設計などは“別料金”なことが多いです。
- 連絡手段・対応時間のルール
- メールのみ/チャット可/緊急対応の可否など、運用ルールが曖昧なままになっていないか確認します。
- 担当者の変更やサポート体制
- 担当者が変わった際の引き継ぎ方法、バックアップ体制の有無も重要なポイントと言えるでしょう。
契約書を細かく見直すことで、企業側の期待と実際のサービスにどの程度のズレがあるかを冷静に把握できます。
顧問社労士にサポート品質の改善を依頼する場合の交渉・伝え方のコツ
「すぐに社労士を変える」のが最適解とは限らず、まずは改善依頼で状況が大きく好転する場合も少なくありません。そのためには、以下のような伝え方が効果的です。
1. 感情ではなく“事実ベース”で伝える
「××の手続きで◯回ミスがあった」「回答まで平均3日かかっている」など、具体例を挙げると伝わりやすいでしょう。
2. 改善してほしい点を明確にする
たとえば、
- 回答時間を48時間以内にしてほしい
- 電子申請を導入してほしい
- 月1回の労務ミーティングを設定したい
このように「改善後の理想状態」を示すことで、社労士側も動きやすくなります。
3. 双方の役割分担を整理する
企業側の情報提供の遅れが原因の場合もあるため、社労士だけを責めるのではなく「体制を一緒に整える」というスタンスが効果的でしょう。
4. 返答期限を設ける
ダラダラ話し合いが続くのを防ぐため、「◯日までに対応方針を教えてほしい」と明確に伝えると良いです。
これらを踏まえることで、社労士との関係をより建設的に見直すことができるはずです。状況に応じて“改善”か“変更”かを判断し、企業として最適なパートナーシップを築いていくことも検討されてはいかがでしょうか。
急を要する場合の“社労士の変更・切り替え”のプロセス
「ミスが多い」「連絡がつかない」「期限に間に合わない」など、企業運営に支障が出ている場合は、改善を待つよりも“社労士の切り替え”を迅速に進めた方が安全といえます。
顧問社労士の変更は珍しいことではなく、適切なプロセスを踏めばトラブルなく実行できます。ここでは、急ぎのケースでも混乱を最小限に抑えるための具体的ステップを解説します。
社労士変更時に押さえておきたいステップ(引継ぎ・期間・費用)
社労士を変更する際は、次のような流れを押さえておくことでスムーズに進めることができます。
① 現行社労士との契約条件を確認する
まずは、解約の通知期限(30日前が多い)、違約金の有無、返却すべき書類などをチェックしましょう。顧問料の精算方法や、途中月での解約ルールも確認しておくと安心でしょう。
② 必要な書類・データのリストアップ
社労士を切り替える場合、切り替え先の社労士事務所に自社情報の共有が必須です。
事前準備として、
- 労働保険番号・社会保険関連の事業所情報
- 従業員一覧・資格取得/喪失の履歴
- 就業規則・協定書・過去の申請書類
これらが揃っていると、新しい社労士へ短期間で引き継ぎできます。
③ 新旧社労士間での“実務引継ぎ”の段取りを決める
企業側が窓口となり、引き継ぎ日程・方法(データ共有/オンライン面談など)を設定します。機密保持の観点から、引き継ぎ範囲は必要最小限に整理することが望ましいでしょう。
④ 切り替えにかかる期間の目安
スムーズにいけば1ヶ月程度で実務移行が完了します。年度更新・算定時期など繁忙期と重なる場合は、余裕を見たスケジュールを設定しましょう
⑤ 発生する費用の考え方
現在の顧問社労士へ支払う最後の顧問料と、切り替え先の事務所へ支払う顧問料が同月に発生する可能性があります。また、切り替えにおいて初期設定費(従業員登録・過去データ整理など)が必要となる場合もありますので、注意しておきましょう。
ただし、サポート体制が優れている事務所の場合、移行負担を軽減するため初期費用を抑えているケースも見られます。
変更のプロセスを明確にしておくことで、急ぎの切り替えでも混乱を最小限に抑えることができるでしょう。
新たな顧問社労士を選定する際に重視すべき6つのポイント
社労士の変更は“問題解消の最後の一手”であると同時に、企業の労務体制を抜本的に強化するチャンスでもあります。
次の6つのポイントを押さえて選定すると、長期的に安心して任せられるパートナーを見つけやすいでしょう。
- 業種・規模に合った実績があるか
- IT対応(クラウド・電子申請)が整っているか
- 法改正へのキャッチアップが速いか
- 提案力・課題発見力があるか
- 相談しやすいコミュニケーション体制があるか
- 費用とサービス範囲が明確で“期待値のズレ”がないか
以下では、特に重要な3つの視点をさらに深掘りして解説します。
ポイント1:自社の業種・規模に即した実績と専門分野
社労士としてのサポート品質は事務所ごとに大きく異なります。
例えば、50名規模のIT企業と300名規模の製造業では、求められる労務管理もリスク管理も大きく異なるでしょう。
- 製造業:安全衛生管理、シフト制、変形労働時間制
- 小売・飲食:離職率対策、社会保険の取り扱い、アルバイト管理
- IT・クリエイティブ:裁量労働制、テレワーク規程、成果型の評価制度
自社と近い業種・規模の支援実績を持つ社労士は、問題の“前兆”に気づきやすく、実務に沿った提案ができる傾向があります。
ポイント2:クラウド・電子申請などIT対応の有無
近年の労務管理は、IT活用の有無で業務効率とミス発生率が大きく変わります。
- 電子申請を標準化している
- 勤怠・給与・労務のクラウド連携に精通している
- データ管理が体系化されている(フォルダ構造・共有方法など)
これらが整っている社労士は、作業スピードが速く、ミスも少なく、トラブル発生時も迅速に状況を把握できます。
逆にIT対応が弱い社労士の場合、郵送・紙・手入力が多くなり、遅延や誤記のリスクが高まりがちでしょう。
ポイント3:経営視点での労務提案力/伴走型支援
手続き代行だけでなく、企業の成長やリスクヘッジを見据えた提案ができるかどうかは、顧問社労士選定の重要ポイントです。
- 労務トラブルの芽を“事前に”指摘してくれる
- 就業規則の改善点を能動的に提示してくれる
- 採用・定着・評価制度など、経営に直結するテーマへ踏み込める
- 「現場で何が起きているのか」を理解するために丁寧にヒアリングする
こうした社労士は、単なる外注ではなく“労務のパートナー”として機能し、企業経営の安定に大きく貢献してくれると思われます。
顧問社労士のミス・不満を根本から防ぐために会社ができること
顧問社労士の質を上げるには、単に「良い社労士を選ぶ」だけでなく、企業側の労務体制を整え、双方が同じ基準で業務を進められる環境をつくることが不可欠です。
ここでは、社労士との関係を安定させ、ミスや不満を未然に防ぐために企業が取り組むべきポイントを整理します。
社内で整えておくべき労務管理の基本フロー
労務管理は、社労士に任せて終わりではありません。社内の情報整理が不十分だと、どれだけ優秀な社労士であってもミスが発生しやすくなるでしょう。
<押さえておくべき基本フロー>
- 入退社手続きの社内ルール化
- 入社情報の提出期限
- 提出フォームの統一(Excel/クラウドフォーム など)
これらを明確化することで、社労士への情報提供がスムーズになります。
- 勤怠・給与データの一元管理
- 勤怠システム・給与ソフト・労務管理のデータが連動していない企業では、手入力による転記ミスが起こりがちです。
- 書類保管・データ管理のルール設定
- 雇用契約書、36協定、就業規則などの保管場所と更新履歴を整理し、社労士がいつでも確認できる状態にしておくと良いでしょう。
これらのフローを整えることで、社労士側の作業も大幅に安定し、ミスや遅延のリスクは確実に減少します。
顧問社労士との“役割分担”を明確にする契約設計
社労士とのトラブルの多くは、「誰がどこまでやるのか」が曖昧なまま契約していることが原因です。役割を明確にするほど、双方が動きやすくなり、期待値のズレも減っていくでしょう。
<役割分担で決めるべき主な項目>
- 入退社手続きの情報提供のタイミングと方法
- 労務相談の範囲(就業規則・人事制度への踏み込み度合い)
- 緊急トラブル発生時の対応窓口と流れ
- クラウド・電子申請の運用体制(誰が入力し、誰が承認するか)
- 助成金・制度活用に関する業務分担
特に、近年は クラウド労務・電子申請の運用責任 が曖昧になりやすいため、設定しておくことでトラブルを防ぎやすくなります。
定期的に振り返るべきKPI・レビュー体制の設置
信頼できる社労士事務所ほど「定期的なレビュー(コミュニケーション)」を図っている傾向があります。逆に言えば、振り返りのない関係では、ミスが改善されず、不満が蓄積していく可能性が高いでしょう。
<毎月・四半期で確認したいKPI例>
- 手続きの遅延・不備の回数
- 法定期限の遵守率
- 労務相談の件数・回答スピード
- 提案内容の有無(法改正、改善案、リスク指摘など)
- クラウド運用のエラー件数・改善状況
<レビュー方法の例>
- 月1回のオンラインミーティング
- 手続き状況、今後の予定、改善点を共有
- 四半期レビュー(労務アセスメント)
- 就業規則、勤怠管理、残業時間、リスク状況を棚卸し
- 年1回の総合フィードバック
- 顧問料とサービス内容が適正か再評価する機会にすると良いでしょう。
レビュー体制を整えることで、社労士との関係は“感情”ではなく“データ”と“事実”を基に改善し続けられます。結果として、ミスや不満が事前に発見され、長期的に安定した労務運営を実現しやすくなるはずです。
まとめ:信頼できる社労士パートナーに転換するために
顧問社労士に対して「ミスが多い」「対応が不安」と感じる場面は、どの企業にも起こり得ます。
しかし、その違和感を放置すると、重大なトラブルや経営リスクに発展する可能性があります。本章では、見直しの重要性と、改善・変更によって得られるメリット、そして“今日すぐにできる行動”を整理しますので、参考になれば幸いです。
「ミスが多い・対応に不安」を放置するリスク
社労士は、企業の労務手続きを支える重要な専門家です。ミスや遅延が続く状態をそのままにすると、次のようなリスクが現実化しかねません。
- 法定手続きの遅延による行政指導・追徴の可能性
小さな誤りや提出遅れでも、積み重なると企業の信用低下につながるおそれがあります。 - 従業員からの不満・トラブルの増加
手続き遅延や説明不足は、「会社が対応してくれない」という誤解を招き、離職や紛争の引き金になる場合があります。 - 経営判断のスピード低下
労務相談の回答が遅いと、就業規則改定、人事施策の導入など、重要な意思決定が止まってしまうでしょう。
こうしたリスクは、早期の見直しと改善で未然に防げることが多いだけに、違和感を放置するのは大きな損失とも言えます。
見直しを機に得られる労務リスク低減・経営メリット
顧問社労士の関係を見直すことは、単なる「不満解消」ではなく、労務体制全体を底上げする絶好の機会です。
- 手続き品質の向上とミス削減
体制の整った社労士に切り替えることで、遅延や誤記のリスクが一気に減少します。 - 法改正への迅速な対応
最新情報を積極的に共有してくれる社労士なら、知らぬ間の“違反状態”を避けやすくなります。 - 経営に直結する提案が増える
就業規則の改善、評価制度の見直し、助成金活用など、労務面の課題解決が進み、経営の安定化に繋がるでしょう。 - クラウド化・電子申請で業務効率が向上
ITに強い社労士へ移行すると、ペーパーレス化が進み、社内負担が大幅に減るケースもあります。
「社労士を変える」というアクションが、実は企業成長の一歩になることは珍しくありません。
今日からできるアクション:まず確認すべき3項目
すぐに大きな決断をする必要はありません。まずは、次の3つの項目を確認するだけでも状況が整理され、適切な次のアクションが見えてきます。
- 最近3カ月の“ミス・遅延”の具体的な記録があるか
→ 感情ではなく“事実”で状況を把握することが重要です。 - 契約書に記載されたサービス内容と実際の提供状況が一致しているか
→ 期待値のズレが不満を生む代表的なポイントです。 - 社内の労務情報提供フローに改善すべき部分はないか
→ 自社側の体制が整うだけで、社労士のミスが激減することもあります。
これらをチェックすることで、顧問社労士を「改善で続けるべきか」「切り替えるべきか」をよりクリアに判断できるでしょう。
社労士は、企業経営を支える“労務のパートナー”です。
信頼関係を築ける社労士と出会えれば、人事・労務の安定はもちろん、経営そのものの強化にもつながります。この記事をきっかけに、より良いパートナーシップへ歩み出していただければ幸いです。
顧問社労士の対応に不安を抱えているなら、まずは「信頼して任せられる専門家と出会うこと」が何より重要です。
社労士法人ステディでは、ミスのない正確な手続き運用はもちろん、経営視点での労務改善提案やクラウド・電子申請を軸にした効率化支援まで、企業の“これから”を見据えた伴走型サポートを提供しています。
「今の社労士に不満がある」「切り替えを検討したいけれど、何から始めたらいいかわからない」そんな企業様には、まず 無料の労務相談・現状診断 をおすすめしています。課題の可視化から具体的な改善策まで、専門家が丁寧にご提案いたしますので、お気軽にご相談くださいませ。
この記事の執筆者

- 社会保険労務士法人ステディ 代表社員



