自社に顧問社労士が在籍していない──その状況に、不安を抱えている経営者の方も多いのではないでしょうか。
労務管理は、日々の勤怠や給与計算だけでなく、労働法改正への対応、従業員トラブルの予防、適切な就業規則の運用など、多岐にわたる領域をカバーする必要があります。
とはいえ、中小企業の多くは専門部署を持たず、また社労士のサポート内容がわからないため「まだ依頼する必要はない」と感じてしまい、その結果担当者が「なんとなく」「前例踏襲」で対応してしまっているのが実情でしょう。
そこで本記事では、社労士がいない会社でも最低限押さえるべき労務リスクを可視化し、事業成長のブレーキにならない体制づくりを目的としたチェックリストを解説します。
今日から実践できるポイントを整理し、労務トラブルを未然に防ぎつつ、経営資源を本業へ集中させられる環境づくりに役立てていただければ幸いです。
社労士がいない会社の実態
社労士が社内にいない、あるいは外部にも顧問を置いていない企業は、実は少なくありません。
特に中小企業では、経理担当者や総務担当者が「兼任」で労務管理を担うケースが一般的であり、限られたリソースの中で複雑化する労働法へ対応しているのが現状でしょう。
ここでは、社労士不在企業がどれほど存在するのか、そしてどのようなリスクに直面しやすいのかを整理します。
「社労士がいない会社」は多い?
中小企業の多くは社労士を社内に配置しておらず、外部の専門家すら活用していないケースも珍しくありません。
その理由としては、
- 人員規模に見合った労務知識が揃っていると「思い込んでいる」
- コストを理由に外部顧問を避けがち
- これまで大きなトラブルがなかったため問題意識を持ちづらい
といった背景が考えられます。
とはいえ、労働環境をめぐる法改正は加速しており、従来の感覚のままでは知らぬ間に法令違反に至る可能性も高まっているといえるでしょう。
社労士不在で起こり得る主要なリスク
社労士のサポートがない状態では、企業はさまざまな労務リスクが隠れています。
特に、法的手続きの誤り・従業員とのトラブル・制度活用の機会損失は、事業に直接的なダメージをもたらすことが多いです。代表的なリスクをより具体的に整理しますと、次のようなものがあります。
社労士がいないリスク①:手続きミス・法令違反のリスク
社会保険・雇用保険・労災などの手続きは、期限や要件が細かく定められており、一つのミスが後々の大きなトラブルにつながることがあります。
たとえば、
- 社会保険加入手続きの遅れによる保険料の遡及徴収
- 36協定の未締結や未届出による労基署からの是正指導
- 無自覚な法違反(固定残業代制度の誤運用など)
といった事例は、社労士不在企業でしばしば発生するものです。
法令は複雑かつ頻繁に更新されるため、担当者が“我流”で管理していると見落としが生じやすいと言えるでしょう。
社労士がいないリスク②:労使トラブル・退職時の対応ミス
従業員とのトラブルは、企業規模を問わず発生し得ます。
特に近年は、
- ハラスメントの申し立て
- 未払い残業代の請求
- 不当解雇をめぐる争い
など、法律知識を前提とした紛争が増加しています。
退職手続きにおいても、離職票の交付遅延や説明不足が原因で不信感が生じ、労働問題に発展するケースは少なくありません。
社労士がいない企業ほど、こうした“初期対応のミス”がトラブルの火種になりやすいと考えられます。
社労士がいないリスク③:助成金や優遇制度を取り逃がす可能性
国や自治体の助成金制度は多岐にわたり、条件さえ整えば企業の負担軽減や人材育成に大きく貢献します。
しかし、
- そもそも制度を知らない
- 申請要件を満たすための事前整備が不足している
- 申請期限が短いがゆえに対応が後手に回る
といった理由から、活用できるはずの助成金を逃してしまう企業が数多くあります。
社労士がいれば「受給可能性の判断」「要件整備のアドバイス」が受けられますが、社労士不在だと情報収集や判断が難しく、結果として成長機会を損ねてしまうおそれがあるでしょう。
“社労士なし”でも最低限整えておきたい労務体制
社労士が社内にいなくても、労務リスクを大きく下げるための「最低限の体制」は整えることができます。逆に言えば、この基盤が不十分なまま事業を拡大すると、ちょっとした手続きミスやトラブルの芽が蓄積し、ある日突然大きな問題として噴出する可能性が高まるでしょう。
ここでは、中小企業でも今日から取り組める実務ポイントを体系的に整理します。
社労士がいなくても社内で整備すべき制度・手続き
社労士不在の企業であっても、労務の「型」を整えれば多くのリスクは軽減できます。
中でも優先度が高いのは、以下の4点です。
- 就業規則・雇用契約書といった基本ルールの明文化
- 勤怠管理の正確性向上と残業時間の適正把握
- 社会保険・雇用保険などの法定手続きの確実な運用
- 定期的なリスク確認と従業員への周知体制
これらは中小企業の実務に直結する項目であり、社労士に頼れなくても内部で整えておくことで、最低限のコンプライアンス水準を確保できると考えられます。
専任担当がいない中小企業におすすめの仕組み
専任の労務担当がいない企業では、仕組み(ツールや書式、運用ルール)で労務を安定化させることが重要です。
特に、次のような工夫は限られたリソースの中でも運用しやすく、担当者の負担を大きく減らすでしょう。
- クラウド勤怠・給与・労務手続きの一元管理ツールを導入
- 労務作業を「月次・年次」でチェックするテンプレートを作成
- 代表・総務・現場リーダーの役割分担を明確化
- 労務に関わる書類をひとつのフォルダに整理(電子化が望ましい)
こうした仕組み化は、小さな組織ほど効果が大きく、属人化を防ぐうえでも有効だと思われます。
就業規則・雇用契約書の整備
就業規則や雇用契約書は、企業と従業員の取り決めを明文化する“土台”です。
これが曖昧な企業ほど、労使トラブルに発展しやすい傾向があります。
ポイントとしては、
- 最新の法令(育児・介護休業、パワハラ防止法など)への対応
- 雇用形態ごとのルールを明確化
- 服務規律・懲戒・評価制度の記載整備
などが挙げられます。テンプレートを流用する場合も、自社の実情と齟齬がないか丁寧に確認することが欠かせないでしょう。
勤怠管理・残業時間の把握体制
労務トラブルの多くは、勤怠管理の不備が起点になります。
特に、
- 手書きタイムカード
- 打刻漏れの多発
- 残業時間の把握が“感覚”に依存
といった状態は、中小企業では珍しくありません。
改善の鍵は、打刻の自動化・残業アラート・集計の一元化です。勤怠データが正確であれば、未払い残業リスクは大幅に下がり、給与計算の精度も向上するでしょう。
社会保険・雇用保険の加入・更新手続き
社会保険や雇用保険の手続きは、期限・要件が細かく決まっているため、社労士不在企業で特にミスが起こりやすい領域です。
- 入退社時の資格取得・喪失
- 扶養の追加・削除
- 月額変更(いわゆる“月変”)・算定基礎届
- 雇用保険の離職票手続き
これらは「必要なタイミングで確実に行う仕組み」が重要であり、チェックリスト化することで抜け漏れを防ぎやすくなるでしょう。
定期的なリスクチェックと教育・周知
労務管理は、制度を整えるだけでは不十分で、運用の継続性が重要です。
そこで効果的なのが、定期的なリスクチェックと、従業員への周知体制の構築です。
- 年1回の就業規則見直し
- ハラスメント・コンプライアンス教育の実施
- 従業員代表との定期的な意見交換
- 新人向けの労務説明資料の整備
これらを継続することで、企業文化としてのコンプライアンス意識が自然と高まり、トラブルの未然防止につながると考えられます。
社労士と“契約しない”選択のメリット・デメリット
社労士を顧問に置かず、社内で労務を完結させる企業も少なくありません。
社労士と契約すると顧問料が発生するため、コスト面の魅力がある一方で、専門家不在ならではの“見えないリスク”も存在します。
そこで、この章では社労士を使わない場合のメリット・デメリットを整理しつつ、実際の成功例・失敗例から学ぶべきポイントを解説します。
社労士に依頼しないメリット:コスト削減・内部リソース活用
社労士を利用しない最大のメリットは、外部顧問料の削減です。毎月の固定費が軽くなるため、スタートアップや小規模企業にとっては大きなメリットといえるでしょう。
さらに、
- 社内の実務担当者が業務フローを深く理解できる
- 労務データが手元に集約され、意思決定が速い
- 組織の運用ルールを自社仕様に最適化しやすい
といった「内部リソースの強化」につながる側面もあります。
特に、総務担当者が主体的に動ける組織では、こうした自走力が武器になる場合もあるでしょう。
社労士に依頼しないデメリット:見えないコスト・専門知識の欠如
一方で、社労士を使わない場合には、“見えないコスト”が積み上がるリスクがあります。
労務管理には、労働基準法だけでなく数多くの法律が関わっていますので、情報のキャッチアップだけでもかなり時間的コストが必要になります。
また、手続きミスや残業代の計算ミスであったり、労使トラブル発生時の対応コスト・心労はかなりあるでしょう。その他助成金や制度活用の機会損失という観点も考えられます。
これらは経営者の目からは見えづらく、気づいたときには大きな負担になっていることも少なくありません。
また、複雑化する労務分野を“自己流”で処理し続けると、制度の誤解や不備が蓄積し、長期的には逆にコストを押し上げる可能性が高いと言えるでしょう。
社内処理で済ませる企業の成功パターン
社労士を使わずに順調に運用できている企業には、いくつか共通点があります。
- 労務担当者が明確に決まっており、かつ複数人いる
- 就業規則・勤怠管理・給与計算が“仕組み化”されている
- クラウドツールを積極的に活用
- 法改正情報を継続的にチェックする体制がある
- 労務の意思決定が現場と経営の間でスムーズ
こうした企業は、担当者の理解度が高く、ルールが整っているため、社労士不在でも安定的に運営できています。
仕組み化が成功している企業ほど、トラブルの芽が早期に発見できると言えるでしょう。
社労士がいないことで発生したトラブル・後悔の声
一方で、社労士不在が原因でトラブルに発展した事例も少なくありません。
- 唯一の労務担当が退職して、自社の労務状況のノウハウがなくなってしまった
- 36協定を届け出ておらず是正指導を受けた
- 残業代の未払いが数年分遡って請求され、数百万円規模の支払いに
- 退職トラブルへの対応を誤り、労働審判まで発展
- 助成金の要件を満たすための事前準備を知らず、申請チャンスを逃した
- 就業規則が古く、育介法対応が不備のまま運用されていた
これらは、企業にとって大きな負担だけでなく、組織の信頼性にも影響を与えることがあります。
このような企業様からは「もう少し早く専門家に相談しておけばよかった」という声が多いのも印象的です。
「コスト」と「価値」の見える化
社労士の利用を判断する際は、単純な顧問料の比較ではなく、価値とリスクを数値化して考えることが重要です。
たとえば、「顧問料:月額2〜5万円」に対して、
- 自社で発生し得るリスク:数十万〜数百万円規模の潜在コスト
- 助成金によるリターン:年間数十万〜数百万円の可能性
- 法改正対応・手続き時間の削減:担当者の本来業務に集中できる価値
といった観点で整理すると、「社労士は高い」という固定観念が覆るケースも多いものです。
最終的には、自社の成長フェーズや内部リソースとのバランスを踏まえて、“外部に任せる部分”と“社内で抱える部分”を切り分ける判断力が求められるでしょう。
いつ“社労士と契約すべきか”を見極めるタイミング
「うちはいつまで社内だけでやれるのか?」「どの段階で社労士を頼るべきなのか?」
多くの中小企業が抱く疑問ではないでしょうか。
社労士の必要性は、単に“規模の大小”だけで決まるものではありません。
従業員数、事業フェーズ、手続きの複雑さ、トラブルの兆候など、複数の指標を総合的に判断することが重要です。本章では、社労士を入れるべきタイミングの考え方を整理し、迷いを解消するための判断軸をご紹介いたします。
従業員数・法人化・制度変更など判断指標
社労士のサポートが必要になるタイミングには、いくつか代表的な“指標”があります。
弊社にご相談をいただく企業様の中で「初めて社労士と契約をした」ケースを整理していますと
- 従業員数が増え始めたとき(5名・10名・20名の節目)
- 個人事業から法人化したタイミング
- 就業規則や評価制度を新たに作りたいとき
- 手続きや勤怠管理が複雑化し、担当者が負担を感じているとき
- ハラスメント対策や安全衛生など、新しい法対応が必要になったとき
上記のタイミングが多いように感じます。
これらはいずれも「社内だけで完結するには限界が生まれやすい局面」ではないでしょうか。課題が顕在化する前に専門家の視点を取り入れることで、後々の負担を大きく減らせると思われます。
外部相談・スポット対応で済ませるケースと顧問契約すべきケース
とはいえ社労士の活用方法は、必ずしも“顧問契約一択”ではありません。状況によってはスポット相談だけで十分な場合もあります。
| スポット対応で済ませられるケース | 顧問契約がおすすめのケース |
|---|---|
| 就業規則を一度だけ作り直したい | 月々の手続き(入退社・給与変更)が多い |
| 助成金申請を単発でサポートしてほしい | 年次業務(算定基礎・月変)に不安がある |
| 法改正の影響だけ確認したい | 従業員数が10名以上で、管理項目が増え始めている |
| 一時的なトラブル対応を外部に頼みたい | 労使トラブルが起こりやすい、あるいは過去に起きている |
自社の負担とリスクを天秤にかけ、「専門家を入れたほうが結果的に安い」というタイミングを見極めることがポイントでしょう。
従業員が5人/10人を超えたタイミングの注意点
従業員数が増えると、労務管理の難易度は一気に上がります。
- 5名を超えると:入退社・勤怠管理の工数が増え、労務が“片手間”では済まなくなる
- 10名を超えると:残業時間の管理、雇用保険や社会保険の加入状況の見落としが増えやすい・給与の整合性確認が重要性を増す
この段階でよくあるのは、「担当者が忙しくて手続きが遅れる」「制度が古くて現状に合わない」という状態です。従業員が10名を超えたら、社労士など外部リソースの活用を検討する価値が高まるでしょう。
新規事業・支店展開・助成金申請を検討する場合
また、事業を拡大すると新しい労務リスクが生まれます。
- 新規店舗の立ち上げ
- 事業拡大に伴う採用加速
- 複数拠点での勤怠・給与管理
- 助成金を使った人材育成や設備投資
これらは、労務制度の再整備が必要になるケースが多いため、社労士の専門性が大きく役立ちます。
特に助成金は要件が複雑で、事前準備を誤ると受給できないことも少なくありませんので、早めの相談が賢明でしょう。
トラブル発生/法令改正が頻繁な時期
次に、労務トラブルが過去に発生していたり、労働関係法令の法改正が施行されるタイミングも注意が必要です。
- 解雇・ハラスメント・残業代請求などのトラブルが発生した
- 労基署から指導を受けた
- 育児・介護、働き方改革など法改正が続く時期に追われている
こうした状況に陥った企業は、社内処理だけでは追いつかない可能性が高いです。
特に、初期対応を誤るとトラブルが深刻化するため、“問題が起きた瞬間”が社労士を入れるべきタイミングと言えるでしょう。
また、法令改正が相次ぐ時期(働き方改革関連法・社会保険拡大など)は、自社だけでのキャッチアップが難しく、外部の最新知識が大きな助けになります。
いずれの指標を見ても共通しているのは、労務の複雑さが増したとき・リスクが高まったときが社労士導入の好機という点ではないでしょうか。
手遅れになる前に適切な判断ができれば、企業成長のスピードを落とさず、安定した組織基盤を構築できるでしょう。
社労士を“入れずに”リスクを抑えるためのチェックリスト
社労士を顧問として入れない場合でも、労務リスクを極力低減する方法は存在します。
その鍵となるのが、「チェックリストによる定期確認」と「外部リソースの賢い組み合わせ」と考えています。
本章では、社労士不在の企業が“自走しながらも安全性を確保する”ための具体的なチェック項目をまとめました。今日から運用できる内容ばかりですので、ぜひ自社のルール作りに役立てていただければと思います。
月次・年次の労務管理チェック項目
労務の抜け漏れは、ほとんどが「やるべき時期にやっていない」ことが原因です。
そのため、月次・年次で確認すべき項目をリスト化し、ルーティン化することが極めて重要です。
- 月次:勤怠・残業・入退社手続き・給与変更の確認
- 年次:算定基礎届・労働保険年度更新・就業規則の見直し
- 随時:法改正・ハラスメント防止施策・労働条件通知書の更新状況など
これらを体系化することで、担当者の負担とミスを大幅に減らすことができるでしょう。
内部担当者が押さえておくべき基礎知識・外部リソース活用法
社労士がいなくても労務管理を安定させるためには、担当者が最低限の基礎知識を押さえておく必要があります。
しかし、すべてを独学で身につけるのは現実的ではありません。そこで有効なのが、外部リソースを“部分的に”賢く使うことです。
たとえば、
- 行政の無料相談窓口(労働局・年金事務所・労働基準監督署)
- クラウド型の労務・勤怠・給与ツール
- スポットでの社労士相談(必要なときだけ依頼)
- セミナーやオンライン講座による法改正情報のキャッチアップ
これらの組み合わせにより、社労士と顧問契約をしなかったとしても、リスクヘッジが取れる体制といえるでしょう。
毎月確認すべき項目(勤怠・残業・入退社手続き)
毎月のチェック項目は、最もトラブルにつながりやすい部分です。
以下を定期的に確認することで、未払い残業・手続き漏れなどの重大リスクを防げます。
- 勤怠データの確定状況
- 打刻漏れがないか
- 有給取得が適正に記録されているか
- 残業時間のチェック
- 法定労働時間を超えていないか
- 36協定の限度に抵触していないか
- 入退社手続き
- 資格取得・喪失の期限管理
- 離職票作成漏れの防止
- 労働条件通知書の最新化
これらの項目は、ミスが発生しやすく、後のトラブルの発火点になりやすい重要ポイントです。
年次確認項目(算定基礎・労働保険・就業規則改定)
年一回の手続きには、法定期限が厳密に設定されているため、計画的な準備が欠かせません。
- 算定基礎届の確認(7月)
- 標準報酬月額が正しく算定されているか
- 勤怠・給与データとの整合性
- 労働保険年度更新(6〜7月)
- 雇用保険加入者・非加入者ごとの賃金総額の集計
- 申告・納付期限の遵守
- 就業規則・社内規程の見直し
- 育児・介護休業法の改正対応
- ハラスメント防止措置の追加
- 多様な働き方(時短・リモート)への整合性
- 賃金テーブルや評価制度の見直し
- 個人情報・安全衛生・法律改正の反映
- 情報セキュリティ
- ストレスチェック制度
- 社保適用拡大時の対応
年次業務は“間違えると後々のミスが積み重なる”種類の作業であるため、チェックリストを用いながら管理することを推奨いたします。
外部専門家・クラウドサービス・スポット社労士相談の活用法
社労士を顧問にしない場合でも、必要なときだけ部分的に外部リソースを活用することで、企業の負担を最小限に抑えることができます。
外部専門家の賢い活用方法
- スポットで就業規則の改定だけ依頼
- 助成金申請の“事前要件チェック”だけ相談
- トラブル発生時の初期対応だけ外注
- 月変・算定など年次業務だけ依頼
クラウドツールのメリット
- 勤怠・給与・労務が連動し、ミスが激減
- 入退社手続きの自動化
- 改正法対応がアップデートで反映される
- 属人化を防ぎ、担当者交代にも強い
行政の無料窓口の活用
- 労働条件・社会保険の疑問を無料で相談
- トラブル時の客観的アドバイス
- 法改正情報を入手しやすい
これらを組み合わせることで、コストを抑えながらも“実質的には社労士を利用しているのに近い安心感”を得られるでしょう。
社労士を入れないこと自体は問題ではありませんが、仕組み化とチェック体制が整っていない状態で放置することが最も危険です。
本章で紹介したチェックリストを土台に、リスクを抑えつつ、企業が自走できる安定した労務体制を構築していきましょう。
まとめ:社労士がいない=危険というわけではないが、備えが肝心
社労士がいない企業が「危険」だと一概に決めつけることはできません。
しかし、労務のしくみが整っていない状態を放置すると、後々大きなリスクとして跳ね返ってくるのも事実です。重要なのは、社労士を入れるか否かではなく、自社の現状に合わせた“備え”ができているかどうかです。
最後に、社労士に頼らない選択を取る企業が“安全性”と“成長”を両立するために押さえておくべきポイントを再確認します。
社労士を“使わない”選択を有効にするためのポイント
社労士を顧問に付けないという選択をするのであれば、以下のポイントを押さえておくことで、労務リスクを最小限に抑えることができるでしょう。
- 最低限の制度(就業規則・雇用契約書・勤怠管理)の整備
- 月次・年次のチェック項目をリスト化し、運用をルール化
- クラウドツールを使い、作業の自動化・ミスの削減を実現
- 行政窓口・オンライン講座・スポット社労士など外部リソースを部分的に活用
- 法改正のキャッチアップを怠らない仕組み(通知・情報源の整理)を構築
これらを実行できていれば、社労士と顧問契約をしていない場合でも一定レベルの労務品質を保つことができ、組織の安定運営につながると考えられます。
“社労士との契約なし”という選択を成功させるのは、情報と仕組みを味方につける姿勢なのだと思われます。
将来に備えた体制づくりで、安心して社員を迎えられる環境に
従業員が増えれば、必然的に労務の複雑さも増していきます。
だからこそ、早い段階で労務の土台を整えておくことが、後々のトラブル予防や事業のスムーズな拡大に直結します。
- 新しい社員を迎え入れるときの安心感
- トラブルが起こった際の迅速な対応力
- 経営者や担当者が労務に追われず、本業へ集中できる環境
これらはすべて、今のうちから仕組みづくりに着手するかどうかで決まると言っても過言ではありません。
社労士がいる・いないに関係なく、「社員が安心して働ける環境」を整えた企業は、結果として採用・定着・生産性のすべてで好循環が生まれるでしょう。
社労士不在でも成長できる企業は、備えがあり、主体的に労務をコントロールしています。本記事で紹介したチェックリストや仕組みづくりのポイントを参考に、“社労士がいなくても安心できる会社”から、“社労士がいてもいなくても強い会社”へと進化させていきましょう。
とはいえ、労務体制を「整えたい」と思った今こそ、専門家の支援を取り入れる絶好の機会でもあります。
社労士法人ステディでは、中小企業がつまずきやすい“実務の穴”を丁寧に埋めるサポートを強みとしており、スポット相談から伴走型の顧問契約まで、企業の成長段階に合わせた柔軟な支援が可能です。
- 就業規則や評価制度の見直し
- 入退社手続き・勤怠・給与の整合性チェック
- 助成金活用の診断
- 労使トラブル予防の仕組み化
- 法改正への確実なキャッチアップ
これらをワンストップでサポートし、“安心して社員を迎え入れられる会社づくり”を実現いたしますので「まずは現状の悩みだけ相談したい」「労務の抜け漏れを一度チェックしてほしい」という段階でもお気軽にご相談くださいませ。
あなたの会社に最適な労務体制を、一緒にデザインさせていただければ幸いです。小さな一歩が、大きな安心につなげてまいりますので、ぜひ、社労士法人ステディへお気軽にご相談ください。
この記事の執筆者

- 社会保険労務士法人ステディ 代表社員



