仕事をしない社員への正しい対応法とは?企業が取るべき5つのステップを社労士が解説

  1. Home
  2. /
  3. ニュース一覧
  4. /
  5. 仕事をしない社員への正しい対応法とは?企業が取るべき5つのステップを社労士が解説

組織の中で「仕事をしない社員」の存在は、他の社員の士気を下げ、生産性の低下や職場の雰囲気悪化を招く可能性があります。

このような社員を放置してしまうと、

  • 優秀な人材の離職
  • チーム全体のパフォーマンス低下

上記につながる恐れもある一方で、感情的な対処や安易な処分は労務トラブルに繋がることも少なくありません。そのため、企業としては、法的リスクや人権に配慮しつつ、適切な手順を踏んで対応することが求められます。

そこで今回のコラム記事では、仕事をしない社員に対して企業が取るべき正しい対応方法を5つのステップに分けて解説します。問題の本質を見極め、建設的に改善を促すための実践的なポイントをお伝えしますので、ご参考になれば幸いです。

仕事をしない社員の問題を放置してはいけない理由

職場において仕事をしない社員の存在を「個人の問題」として見過ごすことは、組織全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

企業がこの問題に正面から向き合わない限り、他の社員の信頼を損ない、組織の健全な運営が難しくなるでしょう。まずは、仕事をしない社員を放置することによって生じる具体的なリスクについて解説します。

組織の生産性と士気への悪影響

仕事をしない社員がいると、その分の業務負担が周囲にのしかかります。

本来チーム全体で分担すべき業務が一部の社員に偏ることで、効率が下がるだけでなく、不満や疲弊感が蓄積してしまうのです。

その結果、次のような弊害が生じる可能性が高いため注意しましょう。

  • 業務の遅延やミスの増加
  • チーム全体のパフォーマンス低下
  • 優秀な人材の流出

特にプロジェクト単位で成果が求められる現場では、ひとりの「働かない社員」がチーム全体の足を引っ張るケースも少なくありません。組織としては、生産性の維持・向上の観点からも早期対応が重要です。

他社員への不公平感とモチベーション低下

努力して働く社員にとって、何もせずに給料を受け取る同僚の存在は大きなストレス要因となります。優駿な社員に「真面目に働くのが馬鹿らしい」と感じさせてしまえば、社内のモチベーションは一気に低下してしまいます。

また、不公平な処遇が続けば、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • 業務品質の低下
  • 規律の乱れ
  • 離職率の上昇

このような負の連鎖を防ぐためにも、企業は「働かない社員」への対応に対して明確な方針と行動を示す必要があるのです。

まずは現状把握が大切!問題の“見える化”をしよう

仕事をしない社員への対応を始める前に、まず必要なのは「現状の正確な把握」です。

感情的な判断ではなく、客観的なデータと具体的な行動事実に基づいて、問題を“見える化”することが重要となります。誤解や早合点による対応は、かえって職場の信頼関係を損なうリスクもあるため注意が必要です。

仕事をしない状態の具体的な“兆候”とは

「仕事をしていない」と感じても、それが具体的にどのような行動を指すのかを明確にすることが重要です。例えば、次のような兆候が見られる場合、業務不履行や職務怠慢の可能性があります。

  • 業務の進捗報告が極端に少ない、または曖昧
  • 締切を守らない、遅延を繰り返す
  • 会議やチーム活動への参加姿勢が消極的
  • 業務に対する責任感が感じられない発言や態度
  • 他者の成果に便乗する傾向がある

これらの兆候を複数確認できる場合は、本人との面談や周囲のヒアリングを通じて、実態を掘り下げていく必要があるでしょう。

評価制度や成果データの活用

感覚的な評価ではなく、実績や数値に基づく客観的な情報が問題の本質を明らかにする鍵となります。そこで重要となるのが、社内の評価制度や成果データの活用です。

例えば、

  • 業務ごとのKPI(重要業績評価指標)のチェック
  • 勤怠記録、作業ログ、進捗管理ツールの分析
  • 過去の評価履歴との比較
  • 他の同職種社員との成果差の可視化

こうしたデータをもとに、主観ではなく“事実”に基づいた対応を進めることで、本人の納得感も得やすくなり、建設的な改善につながりやすくなります。

個別対応:何が原因かを探る

「仕事をしない」状態には、必ず何らかの原因があります。

安易に「やる気がない」と決めつけるのではなく、背景にある課題や本人の事情を丁寧に探ることが、的確な改善への第一歩です。問題の原因によって取るべき対応策は大きく異なるため、個別対応の視点が不可欠です。

能力・スキルのギャップ

業務に対する理解不足や、必要なスキルの未習得が原因で、うまく業務を遂行できていないケースがあります。このような場合、本人にとっては「努力しても結果が出ない」状況にあり、次第に意欲を失っていくことも少なくありません。

以下のような点を確認し、スキルのギャップを見極めましょう。

  • 担当業務の内容と本人の経験・能力のミスマッチ
  • OJTや研修の実施状況
  • マニュアルやサポート体制の有無

もしスキル不足が明らかであれば、再教育や業務再配置といった対処が有効です。本人の可能性を引き出すことができれば、戦力として活躍する道も開けるでしょう。

モチベーションや職場環境の問題

精神的なストレスや人間関係のトラブル、評価制度への不満など、モチベーションの低下や職場環境が原因で仕事への意欲を失っている場合もあります。このような内面的要因は表面化しづらく、放置されがちですが、実は深刻な問題へと発展することもあります。

具体的には、以下のような状況が考えられます。

  • 上司や同僚との関係が悪化している
  • 業務内容にやりがいを感じられない
  • 努力しても正当に評価されないと感じている
  • ワークライフバランスが崩れている

これらの問題には、本人との信頼関係を前提とした面談や、職場環境の見直し、必要に応じた配置転換など、柔軟かつ配慮ある対応が求められます。

原因に応じた対応を的確に行うことで、社員の再起を促し、組織全体の活性化につなげることができるでしょう。

企業が取るべき対応ステップ

「仕事をしない社員」への対応は、感情や憶測ではなく、明確なプロセスに基づいて行うことが成功のポイントになります。

組織として一貫性のあるステップを踏むことで、本人への納得感を高めると同時に、周囲の信頼も損なわずに済みます。ここでは、企業が取るべき3つの基本的な対応ステップをご紹介します。

面談で期待値と現状を確認

まず最初に行うべきは、本人との1対1の面談です。

このミーティングで重要なのは、あくまで「対話」をベースに、現在の業務状況や課題を丁寧にヒアリングすることです。また、会社側の期待値や役割への認識にギャップがないかも同時に確認しましょう。

面談時のポイントとしては

  • 感情的な叱責ではなく、事実ベースで話す
  • 本人の認識と上司側の期待との違いを整理
  • 今後の改善に向けた建設的な姿勢を促す

ここでの対話が、その後の改善プロセスの土台となります。

明確な目標設定と期限の提示

次に、本人の業務改善に向けて、具体的な目標と期限を設定します。

「何を、いつまでに、どの水準で」達成すべきかを明文化することで、曖昧さを排除し、双方が合意の上で行動を開始できます。

設定例としては、

  • 月内に報告書の提出件数を〇件まで増加させる
  • 毎週の進捗共有を必ず実施する
  • 担当業務の納期遵守率を〇%以上にする

上記のように曖昧な指導ではなく、数値や行動ベースの目標を掲げることが、改善の指針になります。

フォロー体制の整備と教育サポート

目標設定後は、本人任せにせず、適切なサポートとモニタリング体制を整えることが重要です。定期的なフォローアップ面談や、業務に対するフィードバック、必要に応じた研修・OJTを提供することで、本人の成長を支援します。

具体的な支援策としては、

  • 週1回の振り返りミーティングを実施
  • 必要な業務スキルに応じた研修受講の推奨
  • メンターや直属上司によるサポート体制の明確化

単に「結果を出せ」と迫るのではなく、改善できる環境を組織が整備することこそが、社員の再生と定着につながると考えられます。

改善しない場合はどうする?次の対応策

個別対応を行ってもなお、仕事をしない状態が継続する場合には、より踏み込んだ対処が必要になります。

ただし、感情論ではなく、企業のルールと制度に基づいて、適切かつ慎重に次のステップを選択することが重要です。社員一人ひとりの権利を尊重しつつも、組織全体の秩序と生産性を守るための対応が求められます。

配置転換や職務内容の見直し

本人の適性や能力に問題がある場合には、部署異動や業務内容の再設計が有効な手段となることがあります。「現職では成果が出せないが、別の環境なら力を発揮できる」ケースも少なくありません。

この場合、以下のような対策が考えられます。

  • 社内の他部署への異動提案
  • より簡素化された職務への変更
  • チーム構成や上司の変更による再適応支援

このような措置は「見放す」ものではなく、本人が成長しやすい環境を整えることを目的としています。企業としても、可能性を信じて再チャレンジの機会を提供する姿勢が求められるでしょう。

就業規則や評価制度の適用(懲戒を含む)

再三の支援や指導にもかかわらず改善が見られない場合、企業としては就業規則に基づいた正式な対応を検討する必要があります。これは本人の行動が明確に職務放棄に該当する、または組織の秩序を乱すと判断された場合に限られます。

具体的には以下のような措置が段階的に適用されることがあります。

  • 厳重注意や始末書の提出
  • 評価制度に基づく降格・減給
  • 出勤停止などの懲戒処分
  • 最終的には解雇措置の検討(法的手続きを踏んだ上で)

いずれの場合も、証拠の保存と正当な手順の遵守が不可欠です。労働基準法や判例に配慮し、労使トラブルを避けながら冷静に対応を進める必要があります。

組織としての一貫性と公正性を保ちながら、最適な選択肢を見極めることが、企業の信頼を守る鍵となるでしょう。

再発防止のための組織体制と文化づくり

「仕事をしない社員」が生まれる背景には、個人だけでなく組織側の仕組みや風土にも課題があることが少なくありません。

したがって、単発的な対応だけでなく、再発を防ぐための組織体制や企業文化の整備が不可欠です。ここでは、継続的に健全な職場を維持するために企業が取り組むべきポイントを紹介します。

評価制度の透明性と公平性の強化

曖昧な評価基準や上司による主観的な判断は、社員の不満や不信感の原因となり、モチベーションの低下につながります。仕事をしない社員が目立つ一方で、努力している社員が正当に評価されない状況は、組織全体の士気を大きく損ないます。

そのためには以下のような改善が求められます。

  • 具体的な成果指標(KPI)の明文化
  • 評価基準や査定プロセスの社内共有
  • 定期的なフィードバック面談の実施
  • 評価者教育による主観排除

公平性のある評価制度は、社員に「見られている」「認められている」という実感を与え、自律的な行動を促す土台となります。

早期問題察知の仕組み(1on1・チームレビューなど)

問題が深刻化する前に兆候を察知し、早期に介入できる体制づくりが重要です。

社員一人ひとりの状態を定期的に把握できるような仕組みを導入することで、放置による悪化を防ぐことができます。

具体的な取り組み例としては、

  • 月1回の1on1ミーティングで業務・心理状態を確認
  • チーム単位の週次レビューで進捗と課題を共有
  • エンゲージメントサーベイの活用による傾向分析

こうした小さな対話の積み重ねが、問題社員の早期把握だけでなく、組織全体のコミュニケーション活性化にも寄与するでしょう。

企業文化として当事者意識を醸成する取り組み

どんなに制度が整っていても、社員一人ひとりが当事者意識を持って行動しなければ、問題は再び起こりえます。「自分の職場は自分たちで良くしていく」という意識を育てるためには、組織文化の醸成が欠かせません。

そのための施策例としては、

  • 社員主導のプロジェクトや改善提案制度の導入
  • 日常的なフィードバック文化の促進
  • 経営陣との対話機会(タウンホールミーティングなど)

社員が組織の一員として責任と権限を持ち、主体的に行動できる風土があれば、自然と「仕事をしない」という状態を許容しない空気が生まれるはずです。

このような取り組みを継続的に行うことで、問題社員が生まれにくい強い組織づくりへとつながっていくでしょう。

まとめ:問題社員への対応は“仕組み”と“対話”が鍵

仕事をしない社員への対応は、単なる個人指導にとどまらず、組織全体の制度や文化の見直しが問われる重要な経営課題です。感情的な判断ではなく、事実に基づく冷静なアプローチと、社員一人ひとりへの丁寧な対話が必要です。

今回ご紹介した5つのステップを実践することで、職場の健全性を保ち、再発を防ぐための基盤づくりが可能になります。問題を放置せず、根本原因に目を向けた柔軟かつ公正な対応を心がけましょう。

もし自社内で対応に迷いがある、あるいは制度設計や評価体制の見直しを検討中であれば、お悩みがある場合は弊社までお気軽にご相談ください。専門家の視点から、貴社に最適な解決策をご提案いたします。

Copyright © 社会保険労務士法人ステディ
PAGE TOP